ていねいな暮らし
しづか亭のていねいな暮らし
多彩な色で秋めく里山 ~仲秋~

天高い空、透き通った風、金色の田んぼ 多彩な色で里山は秋めいています

「芋の露」と聞いて、思い出すのはどんな景色でしょうか? 俳句の秋の季語でもある「芋の露」は、サトイモの葉に集まった朝つゆや雨のこと。子どもの頃は、自分の背丈を越えるサトイモの下で手に露をすくってみたり、葉と葉を行き来させたり、ともかくそんな遊びが楽しかったのを思い出します。東北でサトイモといえば、やはり「いも煮会」。学校や地域行事でみんなが集まれば、大きな鍋にサトイモ、大根、人参、ネギなどの野菜をたっぷり入れて、秋空の下でゴトゴト煮てわいわい楽しむのが欠かせません。醤油×牛肉、味噌×豚肉、醤油×鶏肉など、どんな具材を使うか地域によってだいぶ異なり、味わいも食べる人の笑顔も鍋それぞれ。それが何よりの芋煮の魅力だと思います。しづか亭でもサトイモが収穫シーズン。自家製ネギ&サトイモを使った鍋をそろそろご提供できる頃となりました。今年のサトイモは、どんな美味しさでどんな幸せを運んでくれるんでしょうね。
最後に、有名な一句をご紹介したいと思います。 芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏(いいだだこつ) この俳句の受け止め方は人それぞれかと思いますが、下の句「正しうす」がとても気に入っています。冬を前にした連山が、露にくっきりと写る。間もなく冬がやってくるのだ、厳しい季節なのだ、気持ちをしっかり持とう、そしてこの季節に感謝しよう。といったことが表現されていると感じます。今でこそ、温泉やスノボ、スケートなどの楽しみも多い冬ですが、食糧が少なく雪に閉ざされていた時代を想えば、半端な気持ちでは冬は乗り切れなかったのだと思います。東北の冬は、独特の雰囲気を持っています。頬をピリリと刺すような寒さ、しんしんと降る雪。それとは対照的なぽかぽかの温泉。雪と寒さがあるからこその温泉の良さ。これはまた格別な感覚です。この体験をぜひ平泉で!

